「ブレイン・ヴァレー」を読みました。この作者は瀬名秀明氏であの「パラサイトイブ」を書いた方であります。
この作品は上・下巻に別れていてかなりのボリュームがあります。従って読みこなすのにはある程度の労力を要するだろうと感じました。読後感としてはまずは、面白かったという風に思います。
メインテーマは脳ですが、それを中核として幽体離脱やUFO遭遇を初めとする様々な超常現象のエピソードがからんで、興味の尽きないところです。もちろん、テーマに沿って脳生理化学やAIそれにカオスの縁、人工生命とかいった言葉も登場し正に科学の先端情報満載ということでした。
ネタバレになるので、詳しくは触れませんがサブテーマは「神」です。このテーマがこの作品に良くも悪くも、ある個性と雰囲気というものをもたらしているのだろうと思います。
上巻はシリアスですが、下巻は多少おいおいというような展開が待ち受けています。このあたりは、読者によって評価、好悪の分かれるところかもしれません。ただ、素直にエンターテイメントとして受けとった方がよろしいのかなと思います。
この作品のストーリー展開、理論的主張は私個人としては、必ずしも全体的に同調するものではないのですが、様々な先端技術の指向性、顕現化といったものにはかなり深く考えさせられるところがありました。そのような読み方も、また別の楽しさを得ることが出来るし作品の厚みとしても感じられるのではないかと思いました。
この作品を一言で云うなら「SF少しホラー」というところでしょうか。一読に値する作品だと思いました。
ところで、ふと思ったのですが、この作品はハリウッド映画に打ってつけではないのか?どうでしょうか。
その際は、思い切った大掛かりなアレンジをするべきだとは思うのですが。