今週、目に付いたニュースがあります。
それは、国産ジェット旅客機(MRJ)のことであります。
内容としては
「三菱重工、国産ジェット機の販売活動開始」というものです。
実は、日本は昨年引退した、プロペラ旅客機「YS−11」はありましたが、国産旅客機というものを、持っておりません。
世界の中の、技術先進国でありながら、なぜ?と思われる方も多いのではないかと思います。
実は、これはさまざまな問題と、経緯があったのであります。
航空機開発には、膨大な資金が必要であるということも理由の一つではあります。
YS−11も機体自体はすぐれたものであるといわれながらも、結局は、商業ベースにのせることに失敗しました。
しかし、もっと根源的な問題もありました。
日本は敗戦によって一時、航空機の製造と運航を禁止されました。
このため、日本は航空機開発においては大きな打撃をうけることになり、現在までその負の遺産を引き継ぐことになりました。
また、米国の安全保障に係わる国家的な戦略、貿易戦略の影響を受けたことも事実であります。
しかし、時代は変わり、日本を取り巻く状況も大きな変化を遂げています。
先日「NHK」で、国産航空機というテーマで特集番組がありました。
現在、国家的プロジェクトとしてこの、
MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)計画が推し進められています。
実はこのMRJ計画は、単に国産の「ヒコーキ」を飛ばすという単純な意味を持つだけでは、決してありません。
現在、喧しくいわれている「グローバリゼィション」という言葉があります。
これは、世界が見かけ上小さくなったということであり、特に経済の分野では、世界が一体化しつつあるように思えます。
そのうねりは、計り知れないほど大きく、日本にも多大な影響を及ぼしています。
現在問題になっている「ワーキングプア」「格差社会」もこのことと密接に関連しております。
しかし、このグローバリゼィションの波を避けることはできません。
出来ることは、どう対応していくかであります。
日本とは、どういう国でしょうか。どのように発展してきたのでしょうか。
それはつまり、貿易立国であります。このことは、これからも大きくは変わらないことであると考えられます。
そして、そのことを支えてきたのは、日本の技術力でした。
しかし、グルーバリゼイションの波は技術力も例外にはしておりません。
どこでも、できることをやっていては、日本の生き延びる道はありません。
ですから、現在よりも、更に先へとシフトしていかなければならないわけです。
そのまさに先端技術の粋が、航空機産業であります。
そうして、現在航空機産業は需要の大きな転換点を迎えようとしています。
この時期を逃したら、日本は永久に国産旅客機を持てなくなることになるだろうといわれています。
このプロジェクトは既に、キックオフしております。
しかし、前途は、大変に困難を極めています。
国産のジェット機を飛ばすことは、日本のエンジニアの夢であり、悲願でありました。
幸い、日本は航空機産業の要素技術を保有しております。
だから、必ず優れた機体を開発してくれると私は信じています。
しかし、もっとも困難なことは、これを商業ベースにのせるということであろうと思います。
航空機は、技術だけではなく、販売、整備、運用等、様々なノウハウの集大成でもあります。
ぜひ、官民一体となって、このプロジェクトを成功させて欲しいと願っています。